-ロシアの教室から-

「あたたかいまち、オレンブルグ」 (オレンブルグ国立大学 加賀田悠教師)
2020年5月14日

私は、2019年の9月からロシアのオレンブルグにある、オレングルグ国立大学の公開講座で日本語を教えています。
オレンブルグは、カザフスタンとの国境に位置する都市です。

オレンブルグの所在地


市内を流れるウラル川がヨーロッパとアジアの境だと言われており、日常生活の中でも、様々な文化がここで共存していることが感じられる面白い町です。

町の観光については、専門のサイトにたくさん情報があると思いますから、今回は、このページを読んでくださっている皆さんには、私自身が実感している魅力と、オレンブルグと日本との交流活動や日本語クラスについてお伝えしたいと思います。


1.オレンブルグの魅力

私がここに赴任してから、何よりも先に気付いた魅力は、空がとてもきれいだということです。
毎朝素晴らしい朝日を見ながら起きることができます。
そして、ひしひしと何よりも感じている魅力はやはり人の温かさです。
赴任してすぐ、買い物に慣れず、買ったパンが古くて硬かったという話をすると、学生がどこからか、フワフワのバトン(パン)を買って来てプレゼントしてくれましたし、風邪をひいたときには、また別の学生が、見たことのないような、でも、体にいいにおいのするハーブをくれました。

大学内の売店で、日本から持ってきた浴衣を見せたら、店員さんがおいしいチョコレートをサービスしてくれたこともありました。
人懐っこい人が多いという印象で、スーパーに行く途中に初対面のおばあさんにちょっと先まで一緒に散歩しようと誘われたり、よく行くスーパーの店員さんに話しかけられたりもします。

コロナウイルスの影響で大学閉鎖になってからも、学生も同僚も私を心配してメールをくれて、ロシアのイースターには、たくさんのきれいなイースターエッグと、クリーチと呼ばれる伝統のケーキが3つも家に届きました。

オレンブルグは、決して大きいとは言えない町ですが、ここに住む人々の温かさは、こぢんまりとした町だからこその魅力だと言えると思います。


2.日本との交流活動・日本語クラス

オレンブルグは日本から離れており、日本人も私一人であるにも関わらず、日本に興味を持ってくれている人は多い印象です。
交流活動としては、オレンブルグ大学で9月に行われるサマースクールに日本からも学生が参加していますし、毎年10月に「日本の日」と呼ばれる日本関連イベントが催される一週間もあります。
また、新年には日本との年賀状の交換も行い、学生一人一人がそれぞれ別の人にあてて、気持ちを込めて年賀状を書きました。
日本から自分宛に届いた年賀状を見た時の学生の顔は忘れられません。
さらに、年賀状を送ってくれた中学校のロシア語を勉強しているクラスに、バレンタインカードを送る活動も行いました。

また、大学閉鎖中の話になってしまいますが、日本語の授業はオンラインで続けています。
環境の変化に私自身だけでなく、学生も戸惑ったようでしたし、インターネット環境が整っていない学生もおり、まだまだ大変な側面が多いです。
公開講座ですから、正直、単位に響くこともなければ、仕事に影響することもないので、オンライン授業が始まった月の月末に辞める学生が多くなるかもしれないと心配していました。
しかし、驚くことに多くの学生が今もオンラインで勉強を続けています。
学生たちは日本語の勉強はもちろんですが、そこに集まる仲間と時間を共有することを楽しんでいるようでもあります。
家でも学校でも仕事でもない居場所としての役割も担っているクラスなのだと気づかされました。


丁寧に年賀状を書く学生たち

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