-ロシアの教室から-

三度目の“黄金”の季節(ロシアキリスト教人文アカデミー 内田 萌教師)


 2021年9月。サンクトペテルブルグで迎える、三度目の新年度が始まりました。日本の9月は、まだまだ残暑厳しい時候かと思いますが、 ここサンクトペテルブルグでは、早くも紅葉の見頃を迎え、秋の訪れを感じられます。あまりの美しさに、ロシアでは、この季節のことを、“黄金の秋”と称するそうです。

通勤経路にて。小さく見える建物は、世界遺産の『血の上の救世主教会』。


 私が派遣されている、ロシアキリスト教人文アカデミーは、サンクトペテルブルクで最古の私立大学として1989年に開校し、1993年に日本語学科が設立されました。昨年度からは、アカデミーの学生だけでなく、附属カレッジの学生にも授業を担当することになり、合計で90名ほどの学生が日本語を学んでいます。日露青年交流センターの派遣教師として、より多く、幅広く、日本語教授活動を展開できることに、嬉しく思っております。

カレッジの学生に、授業で折り紙体験を。

 ロシアキリスト教人文アカデミーでは、昨年度に引き続き、今年度も、対面形式で授業を行っています。また、今年度からは、本学での公式行事や課外活動も、全面的に対面で実施できるようになりました。コロナ禍の前から、日本語学科では、授業で学んだ日本語を授業外の場で使って初めて本当の日本語力が身に付く、という趣旨のもと、青年交流活動を盛んに行っておりました。元よりこういった考えがあったので、イベントや課外活動の対面で実施が可能になったことは、日本語学科にとって、何よりも学生たちにとって、非常に大きなことでした。ここでは、この9月・10月に行ったばかりの青年交流活動について、ご報告いたします。

 まずは、9月中旬に行った『秋分の日イベント』についてです。こちらは、大学側から依頼を受け、アカデミーの在校生から有志を募り、彼らとともに企画・運営を行いました。内容は、秋分の日や、秋の歳時や出来事にちなんだ、グループ対抗クイズ大会をし、優勝したグループに景品を贈呈し、その後、グループでおしゃべりタイムを設けました。また、日本人ゲストも招待し、良い交流の場となりました。


『秋分の日イベント』でのクイズ大会の様子。

 続いて、日本語会話クラブ『絆』です。10月上旬、なんと約一年半ぶりに、会話クラブ『絆』を対面で再開することができました。特にコロナ禍の前からの会話クラブを知る在校生は、喜びもひとしおだったようで、嬉しさがひしひしと伝わってきました。会話クラブにも日本人ゲストを数名招き、トークテーマに沿って話を進め、グループごとに交流を深めていました。


今年度1回目の日本語会話クラブ『絆』の様子。日本人ゲスト6名と、本学からは40名を超える学生が参加し、大盛り上がりな会となった。


 振り返ると、派遣1年目はコロナウイルスの台頭に振り回され、2年目はコロナ禍の制限の中で試行錯誤を繰り返し、私の任期のほとんどは、コロナウイルスと共にありました。そうして派遣3年目の今年、オンライン・オフラインのどちらになるかは誰にも分かりませんが、その形に関わらず、日本語教育や青年交流活動が、学生の成長に繋がるものでありたい、と強く思います。“黄金の秋”から始まった今年度、その終わりには“何色”が待っているのか、楽しみながら任務を全うしていきたいです。

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