日露修好150周年記念回航事業 【会議参加者のスピーチ】

山梨学院大学大学院社会科学研究科二年
鈴木 崇弘

日ロ関係の150年間を振り返ると様々な紆余曲折を経て現在に至ったと実感します。帝政ロシア時代には日露戦争がありました。この戦争は両国の今後とる道を決定付けたともいえます。帝政ロシアは社会主義への道、日本は軍国主義への道です。その悲惨な結末は第二次世界大戦での戦いと、その後の冷戦での対立です。これは両国に現在も残る問題を生み出しました。特に冷戦期は両国の関係を正常化するのに難しい時代でした。冷戦中にあった揺らぎは日ソ関係の修復を期待するものもありましたが、そのたびに中東や東欧で問題が起こり、関係改善の機会を失っていました。1956年、日ソ共同宣言が締結され、両国は国交を回復したものの、その後も平和条約には至らぬまま反共革命によってソ連は崩壊しました。新しいロシアになってからも平和条約締結への動きはなかなか進んでいません。

その理由は北方領土の問題だけであると私は考えます。領土問題の解決には心理的影響が大きく、極めて有力な動機が必要であります。これまでにはその動機が欠けており、国内事情によって領土問題を棚上げせざるを得ない状況でした。しかしその動機として有力なのは、6月に両国が批准した露中国境画定協定だと思います。この協定を分析することによって、北方領土問題解決の糸口が見つかるものと思います。これらを解決していくのは政治家の仕事です。しかし、両国国民もこのことについてもっと勉強するべきです。無知が生み出す誤解は、友好に必要な相互理解への道を困難にします。

両国の関係は今まで以上に友好的で緊密なものでなくてはなりません。しかし、現状の交流レベルは20年前とさほど変わりありません。日本でロシア語を学ぶ学生も現状維持、もしくは減少の一途をたどっています。また、ロシアへ旅行をする人も非常に少ないのです。これでは相互理解も深まりません。今後、両国国民が更なる相互理解を深めるためには、交流を活発化させ、長期的に継続する必要があると考えます。民間レベルでの行動も重要ですが、両国政府の協力も非常に重要であると思います。政府と民間が協力することは相互理解の加速化を促します。この回航事業はその理想的な活動ともいえるでしょう。この事業がきっかけとなり、官民一体となった日ロ交流が継続的に行われるよう希望します。