日露青年招聘・派遣事業

ロシア人初等中等教育日本語教師招聘
(平成22年12月4日~19日)

ロシアの初等中等教育の学校(7歳~18歳くらいまでの生徒を対象)で日本語を教えている教師12名を2週間日本へ招聘しました。今回は、モスクワ、ノヴォシビルスク、ウラジオストク、ハバロフスク、ユジノサハリンスクからの参加でした。モスクワでは、初等中等教育の段階で日本語を教える学校が増えており、ノヴォシビルスクでは、北海道との強い絆を背景に日本語教育が続けられています。ウラジオストク、ハバロフスク、ユジノサハリンスクなど日本に近い地域でも日本語は相変わらずの人気です。

12名の教師達は国際交流基金日本語国際センターで日本語・日本語教授法についての講義を受けたほか、近くの中学校を訪れて授業の観察したり、書道や折り紙のプログラムに参加するなど、充実した日々を過ごしました。


教材の研究。生徒たちの心をつかむ教材を考えるには、子供の気持ちになって、楽しいものを探します。自然と顔の表情がほころんできます。 それぞれの秀作を手に。皆さん結構お上手です。しかし、先生のお手本を持つのは、ずるいでしょ。

常盤中学校の訪問。生徒たちがリコーダーを演奏する姿をめずらしそうに観察していました。ロシアでは学校の授業で生徒が楽器を演奏することはほとんどなく、先生がアコーディオンを演奏し、生徒が歌を歌う程度なのだそう。もし楽器を習いたければ、学校の後で習いに行くとか。 書道の時間。達筆な生徒の手の動きにロシア人教師達の視線が集まります。

家庭科室。「キャーこれ何ですか?」とはしゃぐ。"エコバッグ"は新しい語彙です。男女一緒に家庭科の授業をするのもロシアと違うところだそうです。 常盤中学校の先生方との懇談会。先生になるための試験、先生たちが直面している問題など、ロシアと日本の事情を比べながら話が弾んでいました。ロシアで学校の教師として働く彼らにとって、日本の教育現場を訪問できたことはとても役に立つ経験でした。


週末には、京都で神社仏閣を見て、茶道も体験しました。国際交流基金日本語国際センターの先生から「生の教材を集めてくること」という課題を出されていたこともあり、カメラ片手にあちこち忙しく歩き回り、メモを取っていました。古い建物や庭はもちろんのこと、バスから見える町の風景や、小さなお店の看板、道路の標識など、何でもロシアで教材として使えるものです。


プログラムの最終日は、日本で集めた教材や写真、日本語や教授法の授業や文化プログラムで知ったことを使った、活動のアイディアの発表会でした。それぞれ、自分のアイディアを日本語で発表します。

自作のクロスワードパズルを作った人、動物の絵描き歌や踊りを披露する人、日本についてのクイズを準備した人、などみんな独創的です。共通していたことは、「いかに楽しく練習するか」を常に意識していた点です。


実は、「日本語教師」といいつつも、普通の日常会話さえ不安という教師もいました。その教師の発表の時間が近づくにつれ、こちらもドキドキしてくるのでした。「ちゃんと指示は理解できているかな、『やっぱりできません』と言われたらどうしようかな」と。でも、いざ発表が始まってみると、実に堂々とした態度で、歌と映像を織り交ぜた楽しい発表をしてくれました。さすがだなと見直すと共に、日本語を教えるために必要な素養は、日本語能力だけではないと改めて思いました。



    
    


ロシアにおける日本語教師の待遇は、決して良いとは言えません。少ないお給料から日本へ来るための航空券代を負担するだけでも大変だったと思います。さらに、お財布の中身を確認しながら、日本語の教材をできるだけたくさん買おうとするロシア人教師の姿には、頭が下がる思いがしました。

今回の滞在では、参加者が日本語や日本語教授法についての知識を深めたことがまず大きな収穫でした。さらに、広いロシアの各地でそれぞれに活動する教師達の間のネットワークができたことも大きな意味を持つと思います。今後も、ロシアでの日本語教育をより楽しいものにし、より多くのロシアの子供達に日本への興味を持ってもらうことができればと思います。今回来日した12名の教師の活躍が期待されます。


修了式。お世話になった国際交流基金の関係者のみなさんと。



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