日露青年招聘・派遣事業

平成21年度派遣事業
チェボクサリ学生文化交流派遣プログラム



ロシア連邦チュバシ共和国の首都チェボクサリは、モスクワから東へ630kmのヴォルガ河畔に位置する人口約50万人の地方都市です。このプログラムでは、日本から学生を中心とするグループが初めてチェボクサリを訪問し、大学での授業交流をはじめ、ロシア学生の家庭で5日間のホームステイを体験するなど、チェボクサリの人々の日常生活をとおしてロシアの地方文化への新鮮な驚きと異文化交流の感動を味わうことができました。

日露青年交流事業を促進するために広く募集している一般の方からのご提案が実現したプログラムとなりました。

派遣期間

平成21年9月19日(土)- 9月28日(月)


ロシア側受入れ機関

サンクトペテルブルク国立技術経済大学 チェボクサリ分校


日本側参加者

学生12名、社会人 3名  計15名


滞在日程

9月19日(土) 成田発、モスクワ到着

9月20日(日) モスクワ市内視察、夜行列車でチェボクサリへ

9月21日(月) チェボクサリ到着、大学視察

9月22日(火) ロシア側学生によるプレゼンテーション

9月23日(水) 農村訪問

9月24日(木) 日本側学生によるプレゼンテーション

9月25日(金) 地域アーティストによるワークショップ

9月26日(土) 夜行列車でモスクワへ移動

9月27日(日) モスクワ到着、市内視察、モスクワ発成田へ

9月28日(月) 成田着、解散



滞在レポート
第1日目

10時間の長いフライトを終え、モスクワのシェレメチェヴォ第2国際空港に到着。チェボクサリ行きの夜行列車への乗り継ぎが悪く、この日はモスクワで1泊しました。



第2日目

夜行列車の時間まで、モスクワ市内視察。ノヴォデヴィチ修道院の墓地見学、モスクワ大学学食での昼食など、貴重な体験が出来て多いに楽しみました。夜行列車の中では、食堂車でロシア人との交流が盛り上がりました。



第3日目

朝、チェボクサリ駅に到着。駅では受入れ大学の学生たちや現地のテレビ局のカメラマンが出迎えてくれました。 日本人学生は、今日からお世話になるホストファミリー宅で一休みした後、大学に再集合。

ロシアのホップの80%がチュバシで生産されるというだけあって、パンと塩、それにビール(!)でチュバシ式歓迎を受けました。



プィシュ学長の案内で校内見学、授業視察の後、学長室で懇談しました。学長は、初めての日本との交流について、「我々にとって文化的にまだまだ謎であり、同時に憧れでもある日本を直接知ることができる、非常に幸福な機会」とおっしゃっていました。




第4日目

午前中、ロシア側学生によるプレゼンテーションが行われました。チェボクサリの歴史、文化や産業、ロシアの社会、学生の生活について知ることができました。


午後は、ツーリズム学部講師のガイドで市内の歴史地区やヴォルガ北岸保養所などを見学しました。香りのいい松林を散策すると、ちょっと変わった枝ぶりの木にたくさんの色とりどりの細い布が巻きつけられていました。これは「自分や家族の健康を願う」ためのいわばおまじないとか。こんなところにもキリスト教以前の古い信仰の文化背景が感じられ、日本人との共通項を感じました。



第5日目

農村視察。バス1台と乗用車2台で1時間ほど北上し、かつてコルホーズだったアチャキ村を見学しました。野外博物館では、民族舞踊のアンサンブルに出迎えられ、チュバシ古来のビールの伝統的醸造法や麻布作りの実演などを見学し、17世紀から続く農家を訪問しました。

ビールの原料となるホップの栽培はチュバシの主産業で、チュバシの家庭では昔から水代わりにビール飲料を飲む習慣があっただけではなく、祭日ごとに各家庭で作って神に奉納する神聖な飲み物だそうです。大学での歓迎式で、パンと塩以外にビールが供されたのも納得できます。

<ホップ>


野菜スープや牛豚ソーセージ、ピザ風田舎パイなどチュバシの農村料理を昼食にご馳走になりました。

 

<麻紡ぎ>

 

<蜂蜜>


蜂蜜農家では、巣箱から出した蜂の巣をナイフで切り取って、濃厚な蜂蜜を巣ごといただきました。世界各国で起きているように、ここでもミツバチが突然いなくなり、昨年まで600軒あった養蜂農家が半減したとのことです。

そのほかにも放牧地で羊飼いにインタビューするなど、ロシアの農村生活を束の間体感できた1日でした。



第6日目

日本側学生プレゼンテーション。
1.日本の四季 大野共章、金澤奈々(麗澤大学)
2. 日本のサブカルチャー(アニメ) 木内拓也(中央大学)
3. 日本の中のロシアブーム 神竹喜重子(一橋大学大学院)、池田裕香(東京外国語大学大学院修了)、横田藍(東京外国語大学)
4. 日露農業比較と小学生への農業教育支援 岩本英二(東京農工大学大学院)
5. 日露酒文化比較 久津野弘晃、田中耕太郎(一橋大学)
6. 日本の里山 森山海里(一橋大学)
7. 大学と商店街 七倉壮(一橋大学)
8. 世界の包み文化 冨沢恭子(テキスタイルアーティスト)
9. ヒロシマからのメッセージ 高野宏(一橋大学)


会場には大学生だけでなく地域の中高生も来ていて、英語のプレゼンテーションには限界もありましたが、映像や手書きの絵、風呂敷などの実物を駆使し、一部はロシア語で行うなど、どれもバラエティに富んだ切り口で、それぞれの日本を紹介しようと奮闘しました。最後には参加した100名以上で折った折鶴を掲げて感動的な締めとなりました。




第7日目

参加者の地域アーティスト木村健世氏によるアートワーク。

日露の学生がペアになって市内で取材、チェボクサリ市民のエピソードをもとに、架空の小説のタイトルと表紙を描くというアートの手法を用いて、地域を発見する試みを発表しあいました。




チェボクサリ滞在最後の晩とあって、予定のプログラム終了後も、みんな深夜まで語り合っていました。



第8日目

夜行列車でモスクワへの移動日、日本へのお土産をたくさん抱えて、駅で集合。
チェボクサリの学生たちと涙のお別れとなりました。帰りの列車でも学生たちはロシア人乗客との会話が弾みました。



第9日目

モスクワ到着。成田行きの飛行機の出発時間まで、赤の広場、イズマイロヴォ市場、レーニン図書館などを見学しました。チェボクサリと比べると人の歩く速さも違い、モスクワが大都会であることを感じました。



第10日目

美しい夕焼けと朝焼けを見ながら成田到着。参加者との別れを惜しみつつ、楽しかったチェボクサリでの5日間の思い出を胸に帰路につきました。


ホームステイ


チェボクサリ滞在中、日本側参加学生は、ロシア側学生の家にホームステイしました。




日本側参加学生のホームステイを受入れてくれたホストファミリーは、チェボクサリの中心からかなり離れた家もあり、日本人学生の大学送迎は友人の運転する車に頼っていたようです。ほとんどの家庭は旧ソ連時代に建築された10階建てほどのアパートでしたが、外壁が古くても内部をきれいに改装している裕福な家もあれば、内壁はそのまま、バスタブがない、設備もかなり古かったという家庭も。生活にはかなりの差があるようで、なかには毎朝7時に港でチェブラーシカの着ぐるみアルバイトしている学生もいました。お湯が3日に一度しかでないという家もいくつもありましたが、ロシア学生の間では逆に「日本人が毎日お風呂に入りたがる」のが話題になっていました。

当初は、排水管や紙質の問題で、トイレの紙は流さずに傍の籠に捨てるというロシアではよく見られる習慣にも戸惑いはありましたが、今回のホームステイは、ふだん便利な生活に慣れきっている日本の学生たちには貴重な経験になりました。

アルバイトをする学生の家でも、毎朝5時からおばあちゃんが台所でコトコト、おいしいスープやパンを一生懸命つくってくれたり、最後の別れの駅では学生たちが食べ切れないほど、夕食用にご馳走をもたせてくれる家があったり。どの家庭もほんとうに温かく、受け入れ先としては十分すぎるもてなしでした。


日露双方のプレゼンテーションやホームステイを通じて、お互いの文化や歴史、生活習慣を学び、お互いの魅力を発見しあうことができた1週間でした。今度はチェボクサリの学生にも是非日本に来てほしいものです。



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